第2章 自分の気持ち
――私は、ジンのこと、どう思っているんだろう。
ジンとキールの旅に同行するようになって早半月。
唯はそんなことを考えるようになっていた。
「オヤジ、ツイン」
「はいはい。ツイン一部屋ですね。ありがとうございます」
宿屋の主人がにこやかに部屋のキーを差し出す。
キーを受け取るジンのうしろで、唯はなんとも居心地悪そうに顔を伏せていた。
――ジンは宿屋に泊まるとき、いつもツインを指定する。
最初唯は驚いて抗議した。
だが、キョトンとした顏のジンに「なんで?」と訊かれてしまい、それ以上何も言えなくなってしまったのだ。
(意識してると思われるのも、なんか癪だし……)
しかし今日はまた少し状況が違った。
キールがいない。
先ほどそこの通りで美人のお姉さんに酒場に誘われ、フラ~っとついて行ってしまったのだ。
おそらく帰ってくるのは深夜だろうとジンは言った。
そう、まさに二人っきり。
宿屋の主人が妙ににこにこ顔なのも、もしかして変な勘ぐりをしているのではないかと気が気でない唯であった。