第1章 出会い
すさまじい音と光。
――し、死ぬうぅぅぅ~~!!
心の中で悲鳴を上げる唯。
…………?
でもいつまでたってもダメージは来なかった。
唯はゆっくりと目を開けていく。
そして、目の前の光景に固まる。
「う、そ……」
この国のシンボルでもある城が、半壊していた。
「唯ちゃん。もう平気だよ」
いつのまにかジンから離れていたキールが唯に言う。
「し……城が……」
「オレのお宝にキズを付けてくれたお礼もプラスだ」
ジンがしれっと言う。
唯がキョトンとした顔で見ると、ジンは唯の腕に短く視線を送った。
「あ」
意味がわかって唯は自分の手首に触れる。
……なんでだろう。
完璧に「物」扱いされているというのに。
なんで“嬉しい”とか、思ってしまうんだろう……。
……私、なんかおかしい……。
「さーて、早速それ売りに行きますか」
と、何事も無かったように歩き始めるジン。
「……え? あなたたちも一緒に行ってくれるの?」
唯が驚いて訊くとジンは一度足を止めて振り返った。
「ちょっと違うな。唯、君が一緒に来るんだよ」
「え?」
「言ったろ? もう君はオレのものだ。だからこれからずっと一緒に来てもらう」
ジンがまたもとんでもないことをサラっと言った。
唯は真っ赤になって絶句する。
「さっさとそれ売っぱらって、次のお宝を探しに行くぜ~!」
ジンはこちらに背を向けて伸びをし、また歩き出す。
「これからよろしくね。唯ちゃん」
キールが肩に乗っかって、唯はハっとする。
「……ちょっ、ちょっと待って~! 何よ、それ~~!?」