第2章 後編
「……なんでそんなところに隠れてるの?」
「…………」
顔が真っ赤になる。
これじゃぁ、まるで子供だ。
ユメはその顔を見られたくなくて俯く。
トランクスが身を屈めて続ける。
「まぁ、こっちに連絡が来なかった理由はなんとなくわかったけど……。ほら立って」
ユメは言われるままゆっくりと立ち上がった。
「急に来いなんて言ってごめん。もしかして怒ってる?」
「……違う」
「じゃぁなんで目見てくれないんだ?」
「…………」
今トランクスの優しいブルーの瞳を見てしまったら、なんだか泣いてしまいそうだったから……。
「こんなところで話すのも何だから、社長室行こう」
言うとトランクスはユメの手を取って歩き出した。
呆然としているファンの子たちの間をすり抜けて、更に青くなっている受付嬢の横を通り過ぎる。
ユメはそんな彼女らの視線に耐えられなくなってバっと手を離し立ち止まった。
「ユメ?」
「だって、ここ会社だし、トランクスは社長だし……その、恥ずかしいから」
そう言うとトランクスはちょっとムっとした顔をした。そして、
「きゃ!?」
トランクスは屈んだかと思うと、いきなりユメの体を抱き上げた。――お姫様だっこだ。
瞬間、エントランスにいた女性全員の悲鳴がこだました。
「なっ、トランクス!?」
「ユメがつまらない事言うからだよ」
そのまま、ユメが真っ赤になって下ろしてと頼んでも、エレベーターに乗って社長室に入るまでの間ずっと、トランクスは下ろしてくれなかった。
しかもずっと無言。
ユメは恥ずかしいのと同時、彼が怒ってしまったのかと、すごく不安になった。