第1章 前編
ユメは彼女たちの話題には入れず、ひとり更に隅っこの方でうずくまっていた。
――情けない。
ユメは自分とトランクスとの違いを改めて痛感していた。
……全然つりあっていない。
チラっと彼女たちの持っているプレゼントを見る。
どれも有名なブランドもののようだ。
一方、自分は手作りケーキ。……ショボ過ぎる。
付き合っているはずなのに、何か自信がなくなっちゃったよ……。
……もう、帰ろうかな……。
そう思ったときだった。
「きゃあぁぁぁ! トランクス社長よぉ~!!」
「お誕生日おめでとうございます~!」
目の前にいた彼女たちが一斉に騒ぎ出した。
ユメはビクっとして顔を上げる。
トランクス……!
エレベーターから出てきたスーツ姿のトランクスがキョロキョロしながら受付の方にやってくるのが見える。
何故か立ち上がれない。
なんだか無性に恥ずかしくて、今すぐ逃げ出してしまいたい衝動に駆られる。
「ここにユメって子が来ただろう」
「え?」
メガネをしていつもと少し感じの違うトランクスが先ほどの受付嬢に訊いている。
しどろもどろになっている受付嬢。心なしか顔が赤くなっている。……どうやら彼女もトランクスのファンだったらしい。
受付嬢が役に立たないとわかったトランクスはまっすぐこちらに向かってきた。
ファンの子達が一層キャアキャアと盛り上がる。
――そうだ。彼には特殊な能力がある。確か、人の「気」というものがわかるのだと。
……見つかった。
「プレゼント受け取ってください!!」
ユメとトランクスの間に立ちふさがるようにしてファンの子たちは一斉にプレゼントを差し出した。
「ごめん、気持ちは嬉しいけど、ひとつしか受け取る気ないんだ」
きっぱりと言うトランクス。
ユメは目を見開いた。
ゆっくりと視線を上げると、目の前にトランクスがいた。