第2章 後編
――社長室。
見晴らしのいい大きな窓からは消えてしまいそうな夕焼け空が見えた。
大きな机の上には書類の山が何個も出来上がっている。
ユメはソファの上に優しく下ろされた。
そのままトランクスはユメの前にしゃがみ込んで言った。
「で? お姫様。何でご機嫌斜めなのですか?」
トランクスが茶化すように言う。でもその瞳はユメが直視できないほどに真剣だった。
「……自信なくなっちゃったの」
「自信? なんの?」
「トランクスの彼女だっていう……」
言いながらまた泣きたくなってきて、声が詰まる。
「あのね、ユメ。オレはユメの事ひとりの女性として好きだから付き合ってる」
好きという言葉に今更ながら心臓がはねる。
「ユメは違うの? オレの事、社長だから好きになった?」
「違う!!」
ユメは大声で否定する。
「違う。トランクスが、トランクスだから……好き」
そう言いながら、ユメはやっとトランクスの目をまっすぐに見ることが出来た。
すると、トランクスは満足そうに微笑んで、ソファの背もたれにユメを挟むようにして両手を置いた。
「好きだよ、ユメ」
そのままトランクスの端整な顔が近づいてくる。
ゆっくりと目を閉じて、そして……キス。
……さっきまでの暗い気分がキレイに消え去っていく。
どうしよう……好き。
トランクスが好きで、好き過ぎて、どうにかなっちゃいそう……。
「……そうだ」
「ん?」
唇が離れて、ユメは今日本当なら一番に言いたかった言葉を言う。
「トランクス。お誕生日、おめでとう」