第3章 緋守高校とゲヴァルト
「何盛り上がってるんだ?」
莉子と朱が千秋の話をしてると千秋が帰ってきた。
「普通に話してただけだよ~」
「そいつは?」
朱を見て千秋は言った。
「あ…その子はあたし達と同じクラスの神代朱ちゃん」
「神代朱です」
「紺野千秋です」
「よろしくね!」
朱の笑顔に目がいった千秋に気づいた莉子がとっさに割り込む。
「わぁ千秋朱ちゃんに一目惚れしてるぅ」
「えっ?」
千秋は莉子の頭を殴った。
「神代さん困ってんだろ莉子」
「痛い!痛いよ!!」
ふざけながらも笑いあっている莉子と千秋を朱が見つめている。
「私も…こんな風にしてたかったな…」
「え?」
「あ、え、いや…な、何でもないよ…」
莉子と千秋が首を傾げたが何にもなかったように朱は否定する。
「これからよろしくね、朱!」
「よろしく、莉子ちゃん!」
教室には始業のチャイムが鳴り響いた。
*
その頃の生徒会室にて。
「今年は期待できる生徒が沢山いるねぇ…」
どこかの社長が座るような椅子に座っている男が言った。続けて全身青に包まれた髪の長い女もつぶやいた。
「そうですね。なんせ10年に一度の逸材の集まりですから。」
「10年に一度…ですか?」
眼鏡をかけた女が言った。
「あら、資料を見れば理解すると思うけど、見ていないの?」
「僕的にはこの二人が気になるかな?」
その言葉を発したと同時に男は写真付きの二人の個人資料を机にバサッと出した。
「東条莉子と紺野千秋ですか?お聞きしたことはありませんが…」
「私もありません。」
二人の女の反応を見た男は鼻で笑い語り始めた。
「この二人は特に表に出て大きなことをしているわけじゃない。だが実力は素晴らしくゲヴァルト評議会も目をつけるほどだ。」
「ゲヴァルト評議会が…」
「それはすごいですね…」
「二人には期待するといい…」