第3章 緋守高校とゲヴァルト
チャイムが学校の隅から隅までに響きわたる。ここは1年4組、莉子と千秋の教室。
「はぁ…ギリギリ間にあったな…」
自席で右の頬を机につけ疲れ切った様子で千秋は言った。
「何そんな疲れてんの?」
「あのなお前…」
千秋が呆れながら淡々と話し始めた。
「いきなり走り出して駐輪場の場所教えてくれたと思ったら方向は反対だし…しかもあと1分とか言いながら階段一人で走ってくしよ…」
「…だから?」
「これ!!」
大きな声を出しながら千秋は背負っていた莉子のケースを莉子の前に出した。
「…で?」
「いやいや…俺こんな重いの背負って階段走ったのさ。感謝とかないの?」
「号令よろしく」
莉子と千秋の話を割り込むように、やってきた先生の一声で学級委員が号令をかける。
「起立!令!着席!」
号令の後にいろいろと先生が話をしているようだが、2人は聞いてない。
「まぁ…感謝はしてるけど…幼なじみだし、そこまでかしこまらなくてもって思ったし第一あたし毎日これを背負ってんの…」
「ったく…」
先生の話が終わり学活が終了したと同時に千秋は席を立った。
「どこ行くの?」
「水飲みにいく」
千秋は莉子に背を向けて手を振るとそれを見た莉子はふてくされながら千秋が机に置いたケースを片づけようとした。
「随分大きい道具身に付けるんだね?」
莉子の机の前にショートカットの茶髪の少女が立っていた。
「あっ自己紹介遅れました。私は同じクラスの神代朱(じんだいあかね)っていいます。よろしくね」
「あたしは東条莉子。よろしく」
「さっきの男の子と仲良いんだね」
「うん。あいつは紺野千秋。幼なじみだよ」
「あれ?紺野くんって…」
「あぁ、兄弟いるよ。4つ子なんだよね」
「4つ子なんだ!」