第2章 登校
「うーん…ふにゃ#$¥@☆*…」
とある町のとある住宅街のとある家の一室。そこにいる少女はベッドの上で寝言を発している。
ピピピっとベッドの側のタンスの上で鳴っていた目覚まし時計を寝ぼけながら手に取る。
「ふぇ…ん…ってまた寝坊したぁ!!」
あたしの名前は東条莉子。ちょっとした都市にある高校の1年生。高校生になって油断しているからか最近はよく寝坊する。とは言ったものの実際中学の時から寝坊はしていた。
莉子は物凄いスピードで着替えて口の中におにぎりを放り込んだ。そして肩程の長さの髪を左斜め上のあたりにちょこんと結んだ。
あたしの住んでる市の知事さんがちょっと変わった人で、公立校の受験はただの入試だけじゃなくて、家からの距離とか趣味、特技、性格とかでも決まるような制度にしたんだ。おかげで面接の時大変だったんだけど。まぁそれでもなんとか受かったし。ちなみに色々条件がどの公立校にも合わなかった場合落ちるんだっけ。そしたら私立か就職しかないんだよね。今思うと受かっててよかったわぁ。
「…よしっ。」
髪を留め終わり確認がてら鏡を凝視し満足すると靴下を慌てて履き、大きなギターケースを肩から斜め掛けし靴を履いて莉子は家を飛び出した。
「行ってきま〜す!!」
そして莉子は家の前の坂道を猛ダッシュで下っていった。
「はぁっはぁっ」
莉子は家の側の坂道を走って下っている。
まだ、あいつらいるよね?
莉子が向かっているのは幼稚園から一緒の幼なじみの家。
小学校も中学も、そして今、高校も一緒なのだ。
まだいますように
莉子は坂道の途中にある曲がり角を勢いよく曲がった。その先100メートルくらいで幼なじみの家につく。
「間に合え〜!」