第4章 緋守高校生徒会
「あんなやつ放っておこうぜ」
「うん…でもその前に…」
莉子は後ろを向き、それを見た千秋達も後ろを見た。
「まさか…」
千秋は驚いたが、莉子は平然としている。
「やっぱり…2人もゲヴァルトホルダーなんでしょ、朱と…椚谷くん」
「秀でいいぜ、俺も下の名前で呼ぶから」
「騙したり嘘ついたりするつもりはなかったんだよ…なんか…言いづらくて…」
「別に怒ってないよ。ただ私達への接し方が不自然だったから。それに、秀はともかく朱がゲヴァルトホルダーだってことは、話しかけてくれたときから気付いてたよ」
莉子以外のその場にいた全員はその言葉の意味を理解出来なかった。
「ど、どういうこと?」
一番驚いた朱は莉子に聞いた。
「だってこれ…」
莉子は自分が座っていた席の机にあったギターケースを叩いた。
「…」
「これ、道具って言い方するの朱ぐらいだっての」
“随分大きい道具身に付けるんだね?”
莉子に言われて朱は自分の口にした言葉を思い出した。
「流石だよ莉子ちゃん。私は透視のゲヴァルトホルダーだから私はそのケースを透視することが出来たから中がギターじゃないのはわかったよ。でも私がゲヴァルトホルダーだっていう根拠はそれだけじゃないよね?」
「確かにこれだけでゲヴァルトホルダーだって分かったって言うのは嘘。言うとすれば…眼差しかな?」
「…」
「普通の人と特別違うってわけじゃないけど、その瞳が…普通の人とは違うものを沢山見てきた、一般人なんかじゃ見られないようなものを…そんな気がするんだ。確信なんかないけど」
朱は少し考え込んだ。そして顔を上げ莉子の方を見た。
「莉子ちゃん凄いね。そんなのもわかっちゃうんだ。確かに私はこのゲヴァルトで見たくないものも沢山見てきた。そんな私の目が莉子ちゃんの目にも映ったのかな」
「…」
「…こんな不気味なゲヴァルトを持つ私だけど、友達でいてくれるかな?」
「当たり前じゃん。ゲヴァルトホルダーだって人間だよ。ゲヴァルトだけが全てじゃない」
莉子は朱の前に手を伸ばした。
「だからこれからクラスメイトとして、チームメイトとしてよろしくね朱!」