第6章 いざ試験へ
「はぁ〜い、皆お疲れ様」
暗い路地に明るく間伸びした声が響いた。
この声は_____。
「だ、太宰さん!?」
其処には太宰さんだけでなく、国木田さんや社長、他の探偵社の皆も集まっていた。
「み、皆さんもしかして最初から……?」
「勿論、試験だからね。にしても素晴らしい活躍だったよ」
太宰さんが手を引き、私と谷崎さんを立たせてくれる。
「ありがとうございます……ってそうだ、谷崎さんの怪我っ」
「あぁ、彼は何処も怪我なんてしてないよ」
「ほら、この通り」
ちらり、とナオミさんが谷崎さんの服の裾をめくる。
「わッ、ちょ、ナオミ……」
見てみると、確かに血どころか傷一つ付いていない。
「ほ、本当に大丈夫なんですか……?」
「うん、この通り元気だよ」
にこりと私を安心させるように笑う。
「あの、一体これはどういう事なんですか……?」
「よくぞ聞いてくれたね!」
待ってましたと言わんばかりのオーバーリアクションで、太宰さんは続ける。
「実はこの麻薬取引事件なんてハナから起こっていないのだよ」
太宰さんは得意げに人差し指を立て、そして云い放った。
「……え?」
「つまり、この一連の事件は全てひっくるめて、お前の入社試験だったという事だ」
国木田さんが腕を組み、眉間に皺をよせながら云った。