第6章 いざ試験へ
「これは……!?」
「この中なら安全です……!」
意識を集中させ、黒いシェルターを保ちながら外の様子を見る。
振り下ろされたナイフが影に弾かれ、犯人が戸惑うのが見えた。
(今!)
異能を解除し、犯人が怯んだ隙を見て、相手との距離を一気に詰める。
「はぁあっ!」
犯人の足元から伸びる影に触れる。
すると、其処から何束もの細長い影が飛び出し、犯人の身体を羽交い締めにした。
犯人はそのまま倒れ込んだ。
犯人を、捕まえる事が出来た。
安心したのか、全身の力が抜け、そのままへなへなと座り込んだ。
(私、犯人を捕まえられた……!)
まだ心臓がどくどくいっている。
後から身体の震えがきた。
(そうだ、谷崎さんの手当てしないと!)
「谷崎さん!ナオミさん!」
震える身体を無理矢理立たせ、2人の元へと向かう。
「お疲れ様、ひなたちゃん」
「格好良かったですわ」
「そんな事より手当てを! って、あれ?」
服は確かに赤く染まっているが、谷崎さんが苦しむ様子は見られない。
(一体どういう……?)
「はぁ〜い、皆お疲れ様」
暗い路地に明るく間伸びした声が響いた。
この声は_____。