第4章 し〜んちゃんの〜最近は〜?
「あ、あの、鶴子ちゃん?」
「ははははいい!?」
脱衣所の扉の向こうから、高尾君がわたしに話しかけた。
「えーっと、とりあえず頭についてるやつはちょっと洗えばとれるから、風呂は、いいよ」
冷静に、というか少し引き笑いぎみに話す高尾君。
「あ、は、はい、そうですよね…」
高尾君の引き笑いな話し方に、徐々にわたしも冷静さを取り戻す。
たしかに高尾君の頭についたお菓子は、ほんの少しで、洗面所で洗えば取れるものだったのだが、あまりの動揺に"お風呂!"なんて突拍子もない単語を口走ってしまった。
「でも洋服はちょっと…やべえから、貸してくんね?」
「あ、はい!全然!どうぞ!男物ってなると…父の服でいいですか…?」
「全然オッケー!貸して!」
「じゃあちょっと待っててください!とってきますね!」
そう言ってひとまずその場を離れる事に成功した。
ここまでくるとだいぶ頭も冷えてきた。
が、そのせいでわたしが今、何をしたのかが鮮明にフラッシュバックされる。
「っあ〜〜……〜!」
小声て呻きながらその場に頭を抱えてしゃがみ込む。
恥かしい!恥かしい!恥かしい!
あんな失態をみせてしまうなんて!しかも高尾君までに迷惑をかけてしまった!
ごめんなさい高尾君…!
そう思いながら、さっき咄嗟に脱がせた高尾君の汚れた洋服を眺めていると、
「ぶぇっくしゅい!」
と、脱衣所の方から豪快なくしゃみが聞こえてきた。
そのくしゃみで、ハッと我にかえったわたしは、急いで服を取りに行くのだった。