第4章 し〜んちゃんの〜最近は〜?
それからとりあえず高尾君を自分の部屋に上げてから、キッチンにお茶とお菓子を取りに行っている。
コップにお茶を入れながら、今自分がおかれている状況を整理すると、つまり誰もいない家に、男子と2人きりになっているわけだ。
恋や愛に疎いわたしでも、男女が2人きりになる時にする事なんて、だいたい想像がつく。
気のせいなのか…さっきまでの手の震えが一段と大きくなっている。
落ち着け、落ち着くのよ鶴子!
高尾君はただ勉強を教えに来てくれただけなのよ!
せっかくの親切心をそんな考えに持っていくなんて失礼極まりない!
考えすぎ!
そうやって心の中で自分を落ち着かせるために何度も唱え、深呼吸をしてお菓子とお茶の乗ったお盆を持ち上げて後ろを振り向いた瞬間
「どわっ!」
「うひょおおおああ!!」
何時の間にか後ろに高尾君が立っていて、見事にぶつかって床にお盆を叩き落としてしまったのだ。
当然、のっていたお菓子とお茶はこぼれ、運悪く高尾君の洋服にまでぶちまけてしまった。
「う、うわああ!高尾君すいません!服が!」
「ありゃ〜、派手にやったね」
と笑いながら汚れた箇所を見つめる高尾君は、服のことな気にしなくていいと言った。
しかしそんな事言われた所で、わたしが引き下がれるわけがない。
服を汚した罪悪感はそんなに簡単になくなるものではないのだから。
「いや、だめです!洗濯!洗濯します!!脱いでくださいはやく!!落ちなくなる!!!」
「えっな、鶴子ちゃん!?」
「ああ!頭にも飛んじゃってるじゃないですか!お、お風呂!お風呂入ってください!」
「!?!?な、なにどうしたの?!?!?!」
混乱からなのか、だいぶ無理矢理高尾君の汚れた服を脱がし、高尾君を脱衣所に追いやった。