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俺と彼女のカンケイ

第1章 一話



家に帰って、自分の部屋に行く。
隣の部屋からもう聞き慣れた音が耳に届く。
息遣いとベッドが軋む音。そして女の喘ぎ声。
隣は兄貴の部屋。
そう、兄貴は毎日ではないが、よく女を連れ込んでる。それも毎回違う女。父と母が夜遅くまで仕事しているのをいいことに、遠慮せずにこうしてよく連れ込んではしている。

またか。と俺もそう思うだけで、鞄を部屋に置いて、リビングに降りる。

夕食の時間にはまだ早い。取りあえずソファに腰をおろして、何気なくテレビをつけた。
特に面白くもないテレビ画面を眺めていると、携帯が震える。

美樹からだ。

お泊まりのお誘いだった。
明日は美樹の両親が出かけていないらしい。
つまりは寂しいのだろう。明日は俺の兄貴は休みで、どうせまた女連れ込んでくるだろうから、俺の家はやめたほうがいいだろう。

“美樹の家に行っていいか“

と返信。

するとすぐに“うん“と返事が返ってきた。

その後にまた携帯の音が鳴る。……今度は一ノ瀬からだ。

“明日休みだし、明日どう?“

“美樹の家行くから無理“

と返した。

スマホをテーブルに置いてまた画面を見ていると、階段を降りてくる音がした。
どうやら女みたいで、案の定また別の人。
リビングにいる俺と一瞬目があったが、そそくさと出て行く。そして女が出て行った後、今度はゆっくりと階段を降りてくる音がした。

その人物はリビングに入ってくる。

「…おかえり、遙人。」

いい運動したーと背伸びして冷蔵庫から水を取り出す。ソファに座ってグイッと飲み干した。

「…もしかして聞こえた?」

と、悪戯っぽく笑みを浮かべてそう聞いてくる。

「…嫌でも聞こえるだろ。知り合いの人か?」

「…いーや。通りすがりの女。」

ナンパしてヤッた。と平然と口にする。

「…お前もさ、作れよ。身体だけみたいな関係のやつ。楽だぞ。」

所謂、遊び人な兄貴は縛られるのが嫌らしい。なのに彼女はいる。顔もよく、社交的な性格でスタイルもいい兄貴はかなりモテる。
それをいいことに来る者拒まずだ。

「…お前の彼女の…あー、美樹ちゃんだっけ?あの子可愛いけど、俺絶対飽きるタイプだわ。」

美樹は控えめで大人しい。純粋とも言える俺の彼女が兄貴にとってはあまり好きじゃないらしい。
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