第1章 一話
「…あ、美味しい。」
放課後、彼女が行きたいカフェに寄った。
ホイップクリームの山にイチゴのソース。その下にはパンケーキ。見てるだけでも甘ったるそうなそれを美味しそうに頬張る。
甘いものというかスイーツが苦手な俺はアイスコーヒーだけを頼んだ。
目の前のデザートは見る見るうちに減っていく。
「…つき合ってくれてありがとう。」
「…あぁ。」
今度は恵理ちゃんと来ようと呟く。
「…それにしても、恵理ちゃん。彼氏と上手くいってないんだね、やっぱり。」
「………。」
「…なんか、淡白すぎてつまんないって言ってたし。」
つまらないのなら別れればいい。
噂をすれば、俺のスマホが振動する。
一ノ瀬からだ。
「…あ、恵理ちゃんからだね。昨日のことなんじゃない?」
画面には、“今度はいつ相談に乗ってくれる?“との文字。
「…そんなに頼りにされてるんだね。」
笑顔の美樹は全く疑っていない。
というより、なんなんだ。
今朝の言葉といい、またしたいのか。
いわゆる、セフレみたいな関係を築きたいのか…。
「…よっぽど悩んでるみたいだね。私が言うのもあれだけど、力になってあげてね。」
私の友達だから。と口にする。
取りあえず、一ノ瀬にはわからないと返した。
すると直ぐに、そっけなーい(笑)との返事が返ってきた。
きっと彼女は優越感に浸りたいだけなのだろう。恋人と上手くいってないと言うが…。
その後、暫くしたあと、カフェをでて俺たちは別れた。