第4章 四話
………。
……嫌な予感しかしない。
………。
俺との関係がバレたか…。
もうそんな気しかしない。
……俺と会ってどうするのか。何も変わらないし、解決だってきっとできやしないのに。
溜め息をこぼす。
すると父が不思議そうに俺へ視線を送ってきた。
「…どうかしたのか?」
「……いや。」
“会いたい“という文字が映る画面をただじっと見つめていると、また一ノ瀬から
“遥人の家行ってもいい?“
という言葉が送られてくる。
………。
流石に俺の家は……。
「…出掛けてくる。」
立ち上がって父にそう告げると俺は家をでた。
…一ノ瀬に電話する。
すると直ぐに電話にでた。
『……もしもし。』
そのたった一言だったが、一ノ瀬の声からして本当にバレたことが分かった。
…恐らく先程まで泣いていたのだろう。
何度かやり取りして、一ノ瀬の両親はいないらしいので、一ノ瀬の家に行くことにした。
電話を切るまで一ノ瀬の声は沈んだままだった。そしてそれは想像通りだが、直接会う時もそうだった。
ガチャっという音と共に現れた一ノ瀬の顔は酷く重たい。泣いてはいないものの、泣きはらした後。お互いに無言のまま、俺は家に入る。
………。
そしてもう何度も入った一ノ瀬の部屋に入ってカーペットが敷かれた床に腰を下ろした。
部屋に入ってもお互いに沈黙が続いたが、俯いていた一ノ瀬が俺の顔を見上げて、
「……ごめん。」
と小さな声で呟いた。
「…それ…あたしのせい…だよね…。」
……それ、とは湿布を張った頬のことだろう。
そしてまたごめんと謝る一ノ瀬。
…ごめんと謝るぐらいなら、こういう結果になると思っているのなら、何故俺と関係を結んだのだろう。
結局後悔しているんじゃないか。
後悔するぐらいならしなければいい。
「……彼氏に…遥人とのことがバレたの…。」
………。
声が震えている。
「……別れた。」
…まあ、そうだろうな。
「……どうしよう。」
………。どうしようとは、何だ。別に俺にはどうすることもできない。
「……自業自得だろ。彼氏と別れることになったのは。」
ビビってんの?とか俺に言っておきながら、結果これだ。…バレない自信があったのだろう、きっと。
「…どうしてそんなこと言うの……?」