第4章 四話
また兄貴はソファへ体を倒す。
ダラーっと。
そんな兄を横目に、俺はテレビをつけた。
「…あーあ。どっかに美人なお姉さんとかいねぇかなー…。」
普段数々の女性を相手しているくせに…。
よく言う…。
特に返事せず、画面を見つめる。
そうして暫くすると母さんと父さんが帰ってきた。
…すると直ぐに俺の顔を見る2人。まあ湿布してるからな…。
「…どうしたの…っ?」
「…何でもない。」
「……喧嘩か?」
父さんまで喧嘩だと言う。兄はそうそう喧嘩と勝手に言う。
「…遥人が喧嘩なんて珍しい…痛そう…大丈夫?」
痛いのだから大丈夫ではないが、大丈夫と答えた。
疲れたぁっと母さんは呟いて持っていた荷物をテーブルに置く。
父さんは疲れてるのかそのままソファに座る。
こうして早い時間に帰ってくるのは久しぶりでなんだか違和感だ。
「…おかえり。お疲れー。」
寝そべったまま手を挙げてヒラヒラと振る兄貴。
「…あ、今日は久しぶりに夕飯つくるからね…っ。」
その言葉に兄貴は勢いよく体を起こした。
「マジで!?…やったー、久々だわ…。なんか手伝ってやるよ。」
立ち上がって腕まくりする兄貴は嬉しそう。
「…いいわよ、そんな。ゆっくりしてなさい。」
「手伝わせてくれよ…。母さんも疲れてんだろ~?」
「…そお?…じゃあ手伝って貰おうかしら。」
母さんも嬉しそうな笑みを浮かべ、2人はキッチンへと入っていった。
「…仲直りはしたのか?」
…喧嘩ではないのだが、面倒くさい為、そういうことにして
「……した。」
とだけ返した。
…あの男、そのままどっかに行ってしまったが。
あれで終わりだろうか。…また何かありそうな予感もする。
………。
携帯が振動してハッとする。
画面を見ると
“会いたい“
一ノ瀬からだった…。