第3章 三話
耳元から顔を離した先生は面白そうにクスクスと笑う。
……気づいてる。
そう確信してしまう。バレてしまった…。
俺は別にいいけど、一ノ瀬は…。
「…アナタもそういうタイプなの?」
そういうタイプとは……。
「…彼女以外とも簡単に関係を持てるってこと。」
………。
「…どうする気ですか?」
「……どうする気って…別にどーもしないわ。アナタの彼女に言うつもりもないし…どうでもいいもの。」
…どうでもいいなら何故こんな話をしてくるのだろう。
「…ただ意外だと思ったの。アナタ…そういうの興味なさそうだもの。……一ノ瀬さんとのこと彼女にバレたくない?」
「……別に。」
思わず先生から目を逸らす。
「あら、そう…。どうでもいいワケね。高木くん、彼女さんのこと好きじゃないでしょ。」
………。
「…あの、何か企んでるんですか?」
「企んでるなんて言葉がヒドいわね。…興味があるの。」
「……何にですか。」
「…高木くんに。」
………。どういうことかとまた目線を先生に戻す。
興味があるとは……。
………。
「…他人のことはどうでもいいんじゃないんですか?」
「…確かに、その人がどんなことをしようがそれはどうでもいいわ。…でも、身体の相性とかはあるわ。」
「……意味がわからない。」
「…相性って大事よ。その人は上手いのか…。女性って比べるじゃない。あの子とワタシ…どっちが良いって…。」
………。
「…高木くんの性技に興味あるのよ。」
はっきりとそう言われた。
仮にも先生なのに、その発言はいいのだろうか…。
「…アナタって上手なの?彼女さんより一ノ瀬さんのほうが魅力的?相性が良い?」
気になるわっと言って髪を耳にかける。
…つまりは、どういう……。
「…ねぇ、高木くん。ワタシとしてみない?」
………。
「…何…言ってるんですか…先生には旦那が…。」
そこまで口にすると先生は笑いだした。
「…何言ってるの、高木くん。アナタだって彼女いるじゃない。」
………。あぁ、なる程。この人も相手がいるのに他人と身体を重ねることに抵抗がないのか…。