第3章 昔と今の狭間で
私も高校2年生だ
授業内容も、だんだんと難しくなり私の頭を悩ませている
そんな授業を数コマ分乗り切り、放課後になると同じクラスの研磨と一緒に部活へと向かう
「…そら、なにかあった?」
突然廊下を歩いていると研磨にそう聞かれ、内心ドキッとしながらも表情を崩さないように気を付けて振り返る
「ん?どうしたの突然、研磨らしくない」
「いや…今日一日元気なさそうだったから、何かあったのかなって」
「…本当、研磨は人間観察好きだね。負けた」
そう言って笑いながら両手を降参のポーズにすると、彼はムッとした表情で私を少し睨みつける
「別にそういうのじゃないし。それに元気がないって皆言ってた」
「嘘でしょ!?……そろそろ2年経つんだなって考えてたんだよ」
そう、2年前のこの時期…つまり中学最後の試合直前
私の足は悲鳴をあげた
今は既に完治はしているが、バレーボールのように足を酷使するスポーツはフル出場できないと宣告されたのだ
だから私は完治する前……中学最後の試合に出る事ができなかった
ずっとベンチにいるあの感覚を、今でも鮮明に覚えている
悔しい…情けない……そう思っていたら、いつの間にか私のチームは負けていた
エース不在のチームで勝てる訳がない…そう仲間は言いながら泣いていた
その言葉は私の胸の辺りに、ズシンと何かを刺してくるようだった
だから私は、選手をやめたのだ
「まだ…選手やりたい?」
「フルで出れないし、筋肉も衰えちゃったし…無理だよ。それに私は音駒の男子バレー部が大好きだからね」
「…そっか、ならいい。部活遅れる」
「あれ、もうそんな時間?急ぐよ研磨!」
「引っ張らなくても走れるしそらより足速いから…」
そのまま私達は体育館まで走り出した
また、選手としてコートに立つのが怖いんだ
その言葉を呑み込んだまま