第3章 昔と今の狭間で
キュッキュッと床と靴が擦れる音
「おら声出てねぇぞ!!声出してけー!」
「「うスッ!!!」」
体育館中に響き渡る大きな声
ボールが跳ねる音
これが私の神経全てを刺激してくる
「あと30分です!」
「よーし、そろそろダウンしろー!ストレッチ適当にすんじゃねぇぞー」
クロ先輩の掛け声ひとつでキリがよくなった部員からストレッチを始める
「そら先輩!昼休み俺の練習付き合ってください!!」
「リエーフ、それいつも言ってるけど…夜久先輩の方がレシーブ上手いよ?」
犬のように駆け寄ってくる194cmの後輩にいつものように返答すると、眉をしかめてきた
「違いますよー!!そら先輩のスパイク止めたいんです!!レシーブ練はつまんないから嫌だ!」
「なんで私がリエーフにブロック練させなきゃいけないのよー、それにレシーブとサーブ下手だとレギュラーなれないよ?」
「それは嫌だ!どうしましょう先輩!!」
「おとなしく夜久先輩にレシーブ練付き合ってもらいなよ、頑張って。ね?」
泣きついてくるリエーフの背中をポンポンと叩けば、すぐにそれを見ていた夜久先輩が飛んでくる
「リエーフ!!お前ストレッチちゃんとしろ!!」
「ひぃぃ夜久さん!?やりますから!!」
すぐにストレッチに入るリエーフを見送ってから、片づけに入る
支柱を持つのは少し力が必要で、もたついていると横からバレー部にしては細い手が出てきた
「これ…俺がやっとくからいいよ」
「いいの?研磨。ストレッチやった?」
「うん…後は着替えるだけだから、大丈夫」
「そう、じゃあ頼んだ!」
他にも私一人では届かない物だったり、重い物を持ってもらっている間に急いで制服に着替える
そして私達はチャイムが鳴るギリギリに教室に駆け込むのだ