第10章 猫と梟
合宿で夕と再会したこと、バリボーに載っていた及川徹に会った事、面白い選手が烏野にはたくさんいたこと…まぁ合宿だからバレーの話しかできないが、優子は楽しそうに聞いてくれた
「楽しかったんだ。よかったじゃん」
「うん、やっぱバレー好きなんだなって思ったよ」
「本当、バレー馬鹿よね」
「で?優子はGWどうだったの?」
「そう、聞いてよ!!彼氏がね―」
去年から付き合っている彼氏がいる優子は、GWにデートをしたらしい
しかし、シャイな彼氏は中々リードできず積極的な優子をやきもきさせたとか
聞いているだけで仲がいいのがわかるので、ふふっと笑ってしまう
彼氏が優子の事が大好きになる気持ちがわかるからだ
いつも元気で自分の意見をハッキリ言うその姿だけ見ればただ男らしい女の子だが
服装や好みなんかは典型的な女子そのもので、今の彼氏に告白するにも私が背中を押さないといけなかった
そんなギャップがとても可愛らしいのだと思う
「でも優子は別れないんでしょ?」
「当たり前じゃん?そんなところも好きだし」
「わーお、盛大な惚気いただきました!」
「うっさいわね!そらこそどうなのよ」
「私?ないない、部活で精一杯だよ」
突然私に話を振ってきた優子にぶんぶんと首を振るとため息をつかれた
「アンタ全国クラスのバレー選手の幼馴染とかさ、宮城の時のチームメイトとか今の主将の黒尾先輩とか!有望株多いのになんでそういう考えに至らないわけ?」
「光太郎は兄妹のようなもんだし、夕はやっぱ仲間ってかんじだし……クロ先輩はなんか違う」
「孤爪とか1年のハーフとかは?」
「研磨もクロ先輩と同じでなんか違うし…リエーフは弟みたいなもんだしなぁ」
「はーっ!そらの周りの男は全員家族なの!?リエーフくんとかイケメンじゃん!女子は狙うよ!?」
「優子は彼氏いるでしょ?キュンキュンきてどうすんのさ」
「そういう問題じゃない!どうして恋愛感情抜きであの中にいられるの!」
そう呆れる優子は、どうやら私に彼氏ができるよう応援してくれているらしい
…最も、私が努力しなければいけないのだろうけど