第10章 猫と梟
「……って事があったの!!信じられなくない!?」
「それ…俺に言って恥ずかしくないの?」
翌日、教室で会った疲れ切った顔の研磨に昨日の光太郎の下着事件(光太郎曰く事故)の話をしたら微妙な目をされた
「なんで?研磨はいやらしい事とか考えないでしょ?」
「まぁそうだけど…そんな大声で言われても、反応に困るし…周りの目が痛い、かな」
「!!」
怒りのあまりかなりの大音量で話してしまったらしい、教室の視線のほとんどが私に向けられている
すると、話し相手の研磨も当然見られる訳で…彼は重いため息をつきながらゲームに集中しているフリをした
流石にこれは恥ずかしい、そう思うとカァァッと音が出る勢いで顔が赤くなっていくのを感じたので少し下を向く
「でも、木兎さんが単純なのっていつもの事じゃん。諦めなよ」
「じゃあ研磨もクロ先輩に顔合わせる度に嫌な事されたら怒りたくならないの?」
「嫌な事って?」
「すれ違いの人に見られるくらい大きな声で研磨の名前呼ぶとか」
「無視して帰る」
当たり前じゃん、と言いたげな目をチラッと寄越してからまた架空の世界の敵をなぎ倒していく勇者は、そのまま幼馴染を殺す目をしていた
人見知りもここまで行くと動機になるのかもしれないな、なんて冷や汗をかきながら見ているとチャイムが鳴ったので慌てて前を向く
研磨は私の後ろの席なのだ
因みに、福永はその隣だ。バレー部は仲良いねーなんてよく言われる(マネージャーだけしか話さないよね、も言われる)
授業を数コマ受け昼ごはんになると、私はバレー部で食べている研磨達と別れ、仲の良い女友達の元へと向かう
隣のクラスにいる、去年から親友の優子だ
「ごめん!化学の佐藤先生長くって」
「あーいつも長いよね、あの先生。早く食べちゃお」
「うん!」
いつもニコニコしながら行動は男らしい優子は、私と気が合う
だからこうやってご飯を食べたり、部活がオフの日に遊びに行ったりしているのだ
「合宿どうだったの?」
「んーいつもは他校のマネさんもお泊りだから夜も楽しかったんだけど…やっぱ一人は寂しいかなぁ?」
「あら可愛い事言うのね。詳しく聞かせなさいよ」
ニヤリと笑う彼女は、どこかクロ先輩のイタズラ顔と似ていた