第10章 猫と梟
音駒に帰ったとき、既に月がキラキラと夜空を照らしていた
流石に監督も疲れた事から、部活の荷物を片したらすぐに解散となり、私もクロ先輩の許可を貰って部誌を家に持ち帰った
疲れた、ひたすらに疲れた
だけど、ここ最近で一番面白かったことを聞かれたらGW合宿と即答するだろう
自転車でノロノロと家まではしり、久しぶりに玄関につくと不思議と安心した
今日は母さんいるんだっけ…?
「ただいまぁー…」
「おかえりなさーい!合宿疲れたでしょ?ご飯は?」
「あーちょっとだけいる、新幹線とかで少し食べたの」
「あらそうなの?まぁ荷物おいてきなさいよ、あっそうそう―」
何故かハイテンションの母親の話は長いので、適当に返事をして二階の自室へと向かう
久しぶりの家に、ちょっとだけ違和感を感じつつ部屋を開ける
「おー、おかえりー」
そして閉める
あれ、ここは私の部屋だよね?
友達がくれた可愛らしいネームプレートには「そら」の名前がローマ字でおしゃれに書かれていた
うん、間違ってない
そう思って開こうとドアノブを触ると、勝手にドアノブが回りドアが開いた
「ヘイヘーイ、開けて閉めてなにしてんだ?入れよ」
「……光太郎なんでいるの?ここ私の部屋なんだけど」
「おばちゃんがせっかくならそらの部屋で待ってろっていうから」
「…あ、そ」
母さんはどうやら光太郎もいい年の男だということを知らないらしい、勝手に乙女の部屋に入れるなど言語道断だ
「それにしてもお前の部屋つまんねーな、面白いモンなかった」
「はぁ!?勝手に漁ったの!?」
「安心しろ、下着はちらっとしか見てない」
「見てんじゃん!顔がチラッとじゃないって言ってる!!変態!!変態梟!!」
何やら誇らしげに親指を立ててきたのでへし折ってやろうかと思ったが、そんな事したら赤葦が心労で胃に穴が開くだろう、やめておこう
「ま、お前のよりエロ本の姉ちゃん達の方があるから安心しろって」
「何がよ」
「ほら…ねぇ?」
真顔で両手で筋肉質な胸を盛る仕草をしたので問答無用で合宿の荷物が入ったバッグを投げればキャッチしながら倒れた
下からうるさいわよーなんて聞こえたが、無視だ