第9章 絆の色
あれから午後に2回試合をした
勿論私達、音駒の勝利だったけどどんどん烏野の力が上がっていくのをコートの外からも感じるいい試合だった
翔陽君なんかはまだまだやりたいようで、猫又監督を驚かせていたが私達は今日新幹線で東京へ帰らないといけない
仕方なく、試合を切り上げ片づけへと入った
「モップ掛けでも手伝おう」
そう思い、倉庫へと行くと坊主の人と虎が笑いながら握手をしていた
「なに、虎仲良くなったの?」
「はぅっね、音駒の…マネ……!!」
「いいところに来たなそら!コイツ、お前と話したがってたんだよ」
坊主さんは最初に目が合った時と同じように胸の辺りを掴んであわあわと顔を赤くしている
…やっぱ虎と似てるなぁ
「虎と仲良くしてくれてありがとう、私2年の奏多そら。よろしくね」
「よ、よろしくお願いしま…あっ俺…!」
「コイツ見た目は女子だけどよ、俺でも話せる位女っ気ねぇからいい練習になるぜ!」
「虎、歯ァ食いしばれよ?そのモヒカン毟ってやる」
「わ、やめろよ!お前が言うと冗談に聞こえねぇ!!痛い痛い!!」
自己紹介させられたと思ったら唐突にけなされ、虎の背中に乗り出しモヒカンを引っ張っていると坊主さんが笑いだした
「お前面白い奴だな!そりゃノヤっさんの親友にもなるはずだぜ!!」
「貴方も夕と仲良かったもんね、夕の事よろしく」
「任せとけ!俺は田中龍之介!よろしくな、えーと…」
「そらでいいよ、皆そう呼んでるし。よろしくね、龍」
「おう!そら!!」
わはは!と豪快に笑う龍は嬉しそうに倉庫から飛び出して行った
「面白い人だね、龍」
「だろ?お前と俺と同じ、清水潔子様の事を女神と呼んでいた」
「なるほど、師匠という事か。確か夕…リベロもそうだよ。今度会ったらじっくり話したいね」
「異論ありません」
「うむ、今は我々だけで我慢するとしよう。私は清水先輩とご飯まで食べたからな」
「う、うらやましい…!!」
「そうだろうそうだろう!じゃあ私他の片づけ行ってくるね」
軽く清水先輩の事で盛り上がり、このまま話しそうになってしまったがそれではいけない
他に片づけることはあるかな?ときょろきょろしながら体育館へと歩き出した