第8章 雛烏への恐怖
「あっあの!!俺もいれてください!」
「なんだ翔陽、お前もそらのスパイク受けるか?影山も呼ぼうぜ。おーい影山ぁ!!ちょっとトスあげてくれよ!!」
私の意見なんかお構いなしに、さっき試合に出ていた変人コンビを加えて私のスパイクを受けたい!なんて言い出した
夕はいつも私の意見なんか聞かないで突っ走る。だけど私もそれが嫌な訳ではないので、笑ってしまうのだ
「あ、さっきのセッター君かあ。君のトスすごいよね」
「う、うっス」
「何影山照れてんの?プスー」
「日向ボゲェ!!」
「おらお前ら!早くやるぞ!」
本当にこいつらはさっき試合をしたんだろうか?と再び疑いたくなりながら、影山君と私。翔陽君と夕に分かれる
「影山君、ネットから少し離した高めのトスってすぐ出せる?」
「あ、はい」
「うんうん、一回練習してみよっか」
ボールを影山君に出し、影山君がトスしたのを見て走る
このタイミングで跳ぶ
そしてこのタイミングで腕を振る!!
すると、手のひらよりちょい上にボールが当たり向こう側へと入る
夕がそれを拾ってくれたが、影山君は不服そうだ
「うーん、やっぱ女子に合わせるのは難しいよね。あと第一関節と半分、下にしてもらっていい?」
「うス」
「やるよー!!」
「おなしゃーす!!」
翔陽君の元気な声を受けながら、影山君へボールを出す
そのトスを見ながら、跳ぶ
ブロックは翔陽君一枚、右側に夕が構えてる
位置からして、左に打ち込むのは難しい
なら、間を抜くしかない
一瞬で戦略を立て、腕を想像通りに振る
ボールは、翔陽君の右腕にぶつかり少しコースを乱しながらコートに落ちた
「くっそぉ間に合わなかった!!」
「す、すげぇ!!」
悔しそうに叫ぶ夕に、私とボールを交互に見てキラキラした目で叫ぶ翔陽君…似てるなぁ
「俺もできるようになりますかっ?!」
「きっと練習すれば出来るよ。小さな巨人みたいに」
「小さな巨人知ってるんですか!!」
一層大きな声で叫んできた
「うん、私は小さな巨人に憧れてエース目指したからね」
「お、俺も!エースになりたいんです!!」
「きっとなれるよ、私より大きいんだから」
そう言うと、彼は嬉しそうに笑顔を私に向けた