第8章 雛烏への恐怖
あれから、翔陽君はどんどんふつうの速攻のタイミングとコツが掴めたてきたらしい
そして、虎も向こうの坊主さんに燃えたのか犬岡君達の勝負に感化されたのかは知らないが、いつも以上に調子がよかった
猫又監督は、ウチと烏野を"好敵手"と呼んだ
私も、まさにその通りだと思う
現在の得点、18対15
ここで、前衛にクロ先輩がやってきた
セッター君が翔陽君に耳打ちしている感じからして、私の予想は当たりと見ていいだろう
私の予想は的中し、相変わらず意味不明なスピードの速攻をクロ先輩の目の前でやってのけた変人コンビ
「まぁ、取り返してくれるか」
つい口に零れた言葉に、あぁ私も彼らを信頼してるんだなーなんて思ってしまう
次のプレーで、彼らはさっきの一本を取り返すつもりだ
私が考えた通り、取り返すための一本らしく一気に虎・クロ先輩・海先輩がスパイクモーションに移る
相手は誰が打つか分からないが、エースの虎に釣られて跳んだ
しかし、研磨がボールを上げた先はその三人の誰でもない
後ろから大きく飛び上がってきたのは、福永だ
完全ブロックはフられた、イケる―!!
そう思ったが、翔陽君が体で当たってボールを上へと上げた
ちょっと悔しかったが、すぐに夜久先輩の元へ返ってきたので次の攻撃へと皆は移った
烏野は再び入り乱れる音駒を見て誰が来るか、少し弱腰になっている
それを研磨は理解していた
次にボールをあげられた相手はクロ先輩
クロ先輩と研磨の絶妙なタイミングのAクイックが決まった
「ナイスキー!!」
ついそう叫んでしまうほどの鮮やかな敵の翻弄
研磨のような頭は私にはないし、あそこまで相手選手の雰囲気をすぐにつかめる選手は早々いない
そんな研磨を、クロ先輩は理解している
だからこその安定感のある攻撃につながるのだ