第6章 再会
「えっと…挨拶だよね?烏野マネの3年、清水潔子です。よろしくね」
「は、はい!音駒マネの2年、奏多そらです!よろしくお願いします!」
「緊張しなくていいよ。今日はよろしくね、そらちゃん」
「はい!」
なんて綺麗な名前だろう、そう感じると同時に笑顔を向けられ私は幸せ者だ
そんな幸せに浸っていると、またうるさい彼奴が出てきた
「挨拶終わったな!終わったなら俺の話を聞け!!」
「夕…相変わらず声大きいね、うるさいわ」
「そんなの関係ねぇんだよ!なんでお前マネージャーなんかやってんだ!!選手はどうした!!?」
単刀直入に聞いてくる彼の言葉に、また烏野は驚く
選手をやっていた事に驚いたんだろう
「え、そらさん選手だったんスか!?ポジションは!?」
「ウィングスパイカーだよ、それにエース!!千鳥山女バレのエースっつったらそらだ!!」
「かっけぇ!!」
「やめてよ夕…もう違うでしょ」
「もしかして中2でベストスパイカー賞取った…」
「よく覚えてたな影山!そのそらだ!!」
自分の事かのように自慢する夕に、恥ずかしくて顔が赤くなる
また翔陽君が目を輝かせて聞くから余計だ
「で!?なんで辞めたんだ!選手!!!」
「いや…怪我したし……」
「あんなの治る怪我だったろ!!言い訳してんじゃねぇ!!俺と約束しただろ!?高校でまたやるって!!」
胸倉を掴む勢いで怒る夕に、今伝えないと…と気持ちを奮い立たせた
私の口は伝えたかった気持ちを言葉に紡ぐ
「確かに最初は逃げた、飛ぶ楽しさを知ったのに他のポジションに行くのは心底嫌だった…でも」
自分の気持ちを伝えようと目の前の夕を見つめる
「今度は、違う場所で同じ景色を見たい。だから音駒のマネになったよ…それに、ウチの皆はそこまで連れて行ってくれるから」
ニッと笑うと、夕は少し悲しそうな顔をしてから笑った
「なら後悔してねぇんだな!ならよし!!後で俺のレシーブ練付き合え!」
「さっきの話聞いてた?選手引退したんですけど」
「アップで打ってたじゃねぇかスパイク!またお前の止めてぇ!」
「…分かった、試合もその後のも負けないから」
「おう!」
笑う夕を見て、私の心に痞えていたものは綺麗に消えていった