第6章 再会
朝になると、私はいつもより早く朝食を作り皆を起こす
練習試合だからというのもあるが、今日が合宿最終日なので荷造りもしなくてはならないのだ
昨日あらかじめ自分の分を終わらせておいて正解だ
バタバタと皆が荷造りを始めている間に洗い物を済ませ、掃除をする
1年やベンチの皆が残りの掃除をしてくれるそうなので、頼んでから体育館へと向かう
今日は私達の1日貸し切りなので、鍵はずっと開いている
急いで試合の形に椅子を並べていく
支柱は管理人さんがあらかじめ立てておいてくれたので、ネットを張って音駒側にボールケース等を並べる
そのままの流れでクーラーボックスを持ってドリンクを準備した
……ここで、仕事が終わってしまった
「皆には悪いけど…いいかなぁ?」
ペロリ、と舌なめずりをしてボールケースをエンドラインに移動させボールを取り出す
無言でサーブを打つ
思った通りのスピード、回転…そして落ちる直前に変わるコース
「ふふっ」
つい笑ってしまいたくなる程、楽しい
やっぱりバレーボールを打ってるときは好きだ
気持ちの良い音と一緒に、悩んでいる事まで消えてしまいそうだから
高く跳んだ時に見えるあの景色が、暗い気持ちを吹き飛ばしてくれるから
楽しい、その一心で私はサーブを続けた
「そらーそろそろ並ぶぞ…って、またすごいやったな」
「見てたなら言ってくださいよクロ先輩」
ニヤニヤしながら反対側に落ちたボールを拾ってくれるクロ先輩を睨みながらボールをケースに投げていく
「すげぇ楽しそうだったからな、つい見入った」
「…恥ずかしいからそういう事言わないでください!ほら烏野迎えに行くんですよね?行きますよ」
「なんで俺が怒られてんだよ…今日も頼んだぞ」
「任せてください、先輩も今日負けたら承知しませんから」
「そりゃあ怖ぇな…じゃ、行くか」
いつもの言葉を交わし、私達は体育館の前へと向かった
再会まで、あと少し