第6章 再会
5月5日…烏野との5年ぶりになる、ゴミ捨て場の決戦の前日
夕飯に、私は少し気合いを入れていた
皆が少しでも勝てるように…と語呂合わせの願掛けでカツ丼を作った
勿論皆すごい喜びようではしゃいで、ご飯もカツもその他のおかずもすごい勢いで無くなっていった(研磨なんかは辛そうな顔をしていたが)
そんなに食べて明日胃もたれしたら折角のこのカツ丼の意味がなくなる…なんて少し心配しながら皆が空けた皿を洗い終える
お風呂に入り、今日は素直に自分に設けられた部屋へと戻る
昨日、虎と犬岡君と芝山君で"烏野にマネージャーはいるか"という賭けをした事を思い出す
虎以外はいると賭け、虎はゴリラみたいなマネだったら許す!なんて言ってアイスを賭けた
私としてはいた方が心強いし、先輩マネさんだったら色々教わりたい…あわよくば仲良くなりたい……なんて密かに考えている
布団の準備をして、明日の予定を見直してアラームをセットするついでに携帯を開く
案の定リエーフと光太郎からすごい量の通知が来ており、暇なのかな?と冷たい目で既読の文字をつけて閉じた
「…寝れない」
電気を消してからしばらく経った
全く眠れないのだ
昼間に体を酷使して体力を使ったはずなのに、眠れない
その理由は自分でも分かっていた
「元気かな…」
明日会うであろう友人との再会の不安と、ゴミ捨て場の決戦を自分の代でやるという興奮だ
遠足に行く小学生のような興奮に、我ながら呆れる
…いやいや、研磨でさえ少し楽しみだなんて言う程皆興奮しているし楽しみにしている。私がおかしいわけじゃない
そう自分に言い聞かせ、憧れの人の事を思い出す
"まさに、小さな巨人!!"
実況にそう言わせる程の圧倒的存在感
たかが高校バレーだろ、なんて言われればそれまでだが
私は確実に彼に人生のターニングポイントを迫られた
まるで、俺のようになるか、今まで通り小さいを言い訳にして他のポジションに逃げるか…そういわれてるような気分だった
私はあの選択に満足しているし、現状に後悔はない
ただ…私のプレーを初めて止めた彼に、申し訳ないと思ってしまう自分がいた
…明日、全て解決するといいな
そんな事を考えながら、眠りについた