第5章 合宿所
結果から言うと、試合は音駒のストレート勝ちだった
私としてはその結果しか考えていなかったので単純に嬉しかったし、そのままの調子で烏野にも勝って欲しいな…なんて思っていた
「はい!昼ごはんはおにぎりです!!」
ドンッと山盛りに盛ったおにぎりの皿を机に並べていけば、うおおお!!なんて男らしい叫び声と共に腕が伸びてくる
合宿所に戻り、午後の練習に向けて重すぎず軽すぎないメニューを考えようとしたのだが…私にはおにぎりしか出てこなかった
明日からどうしよう…米使いすぎかな?なんて色々考えつつ野菜炒めも並べていく
パクパクと勢いよく減っていく料理を見ているだけでお腹がいっぱいになってくる。男性の食べる量は凄まじい
自分の分は取り分けてあるのでちゃちゃっと食べ終え、買い出しに向かった
近所のスーパーに足を運ぶと、鶏肉が安くなっていたので大量に買い占める
そしてサラダでも作ろうと野菜も大量に買っていると、すれ違ったおばさんにいい野菜の見分け方を教えてもらった。烏野は平和だ
勿論店員の人に物凄く驚かれ、苦笑いしながら重い荷物を運ぶ
この後テーピングを買い足す予定だったのだが、重すぎるので一旦合宿所へ帰り冷蔵庫へ入れた
すると公園の警備員さんが自転車を貸してくれたので、自転車に乗ってスポーツショップへと向かう
欲しかったテープと、ついでに足りなくなっていたエアーサロンパスなどを買う
外に出ると、日が真上にあったはずなのにもう斜めになってきていた
そろそろ休憩だろうから今のうちに帰らねば、その思いで自転車を漕ぐ
すると、運動部特有の元気な声が聞こえてついそちらを向いてしまう
すると、白いジャージを着た人達がワイワイと歩いていた
「あ、及川さんだ!!」
「やっほー☆」
その先頭を走る顔の整った男の人が通行人の女の子に手を振っている、どうやら人気者らしい
どこかで見た事ある顔…そんな事を考えながらジッと顔を見ていると、視線を感じたのか目が合ってしまった
悪い事をした…なんて思いつつ目を逸らそうとすると、彼の名前を思い出した
「…及川徹だ」
月バリに載ってた人だ、そう思いやっとスッキリしたとその場を立ち去ろうとしたとき後ろから肩をつかまれた