第5章 合宿所
しばらく歩くと、見慣れた赤いジャージのプリン頭が座っているのが見えた
何故かその隣には、太陽のようなオレンジ頭の中学生らしき男の子
「研磨が初対面の人と話してる…」
「珍しいな…研磨!!」
知らない人と研磨が話すという珍しい場面に遭遇して驚いたが、練習試合まで時間があまりなかった
クロ先輩が名前を呼ぶと、二人がこちらを向く
「クロ、そら」
「あ…」
「じゃあまたね、翔陽」
何か聞きたそうだったショウヨウ君に笑顔で手を振った研磨にまたまた驚く
ていうか"またね"ってどうしてだろう?
「研磨、今の子誰?」
「翔陽、さっき話しかけてきた」
「お前が初対面の奴と会話するなんて珍しいじゃねぇか」
「翔陽が一人で話してたんだよ…」
「それもそれで翔陽君可哀想だよ…」
翔陽君というのは見た目通りの元気な子だったのだろう、反応がいつも薄い研磨相手に話し続けるなんて相当メンタル強くないと難しいと思う
「お前も楽しそうだったけどな」
「別にそんなんじゃないし」
「まぁそれはいいけど、研磨はもっと皆が行く方向見とこ?完全に迷子だったじゃん」
「ごめん、探してくれてありがと」
「お?聞きましたクロ先輩。研磨が素直ですよ」
「そらうるさい、あと携帯鳴ってる」
私達が話しながら歩いている間、私の携帯がピロンピロンとうるさく鳴っていた
相手は既に想像がつくので放置していたのだ
「どうせリエーフか光太郎なのでいいです」
「あぁ…」
そんな話をしながら、マナーモードに切り替える。勿論バイブ音も消しているので画面が明るくなるだけだ
「よし、じゃあ練習試合頑張りましょう!」
「そら、いつものやつ頼むぞ」
「任せてください!研磨も頑張ってね」
「まぁ…やる事はやる……」
これからの練習試合の話をしながら、私達は槻木澤高校の体育館へと向かった