第5章 合宿所
「着いたぞ宮城ぃぃぃぃぃい!!!」
「うおおおおおおおお!!」
「山本うるせぇ早く歩け」
虎の雄叫びで分かったように、私達は宮城に到着した
周りの人にクスクスと笑われているのは確実に山本のせいだろう、恥ずかしい
研磨なんて恥ずかしさのあまり真下を向いている、お前それで前見えるのか
烏野までは電車移動なので、直井コーチ先導のもと私達は合宿所のある烏野総合運動公園へと向かった
今日はもう夜なので、明日から練習が始まるらしい
だが皆自主練をするらしく、全員が荷物を置いてすぐに外へと飛び出していった
私はここに来る途中にあったスーパーで夕飯と明日の朝食と昼食の食材を買ってきた
相当な量だったが全員で手分けをして持ったのでラクだったな…男子高校生すごい
「よし、やるぞ!」
キュッとエプロンの紐を縛り、私は料理に取り掛かった
コトコトと鍋がいい匂いを出しながら音を鳴らす
勿論今日は合宿一日目なのでカレーだ、誰にも文句は言わせない
ご飯は炊飯器3台をフル活用している、冷えてしまうがカレーの温かさで許してほしい
すると玄関の方が騒がしくなってきたので、一旦火を止めてから出迎えに行く
「おかえりなさーい!夕飯丁度できたよ!」
「カレーの匂い!!」
「芝山君当たり!力作です」
ドヤ顔をしながら皆の出迎えをすると、一年生はわー!とはしゃぎながら寝室に荷物を置きに行く
しかし2,3年がそのままなので首を傾げながらどうしたのか聞いた
「なんか…いいな」
「あ、やっぱ黒尾もそう思う?俺も思ってた」
「夜久先輩もッスか?いやぁこう見るとそらって女なんスね…」
「おい虎どういう意味だ」
皆のほほんとした顔をしてくる中、山本だけオーバーリアクションをとってくるので拳で殴る
「そらちゃんエプロン似合うね」
「えっ本当ですか海先輩!嬉しいこれお気に入りなんですよー!」
海先輩の父親のような笑顔につい嬉しくなった
「…ってそうじゃない!ご飯冷めちゃうから早く来てくださいねー?」
ご飯をよそわなくては…とパタパタとスリッパの音を鳴らしながら私は食堂へと戻っていった
「やっぱそら可愛いよな」
「…そうだね」