第5章 合宿所
新幹線に乗り込むと、席争奪戦が始まる
私は窓際がいいので黙って窓際に座ると、私の隣をジャンケンで決めていた
「ジャンケンじゃ遅いでしょ?研磨隣座って」
「あ…うん」
「何!?研磨だと!」
「虎うるさい」
一番隣にいて平和そうな研磨を座らせると、皆渋々と好きなところに座り始めた
…最初からそうすればいいのに
新幹線が出発すると、皆でお菓子を回して食べたり周りの席の人とおしゃべりをしたり……軽く修学旅行気分だ
そんな私は、ずっと同じ事を考えていた
烏野にもしアイツがいたとして、選手をやめた事を納得してもらえるかどうか…だ
アイツは私が選手として、スパイカーとして高校生活を送っているものだと思っているだろう
嘘をつく訳にもいかないが、正直に言うと大きな声で怒鳴ってきそうで嫌だ
そもそもアイツが烏野にいない可能性も……
いや、いつも全力の奴だしいるだろう。絶対に烏野にいる
烏野の制服が好きだ!ってアツく語ってきた事もあった位だ。何が何でも入学している
どうするべきか…そう考えているうちに、いつもより早く起きたせいか昨晩も悩んでいたからか…瞼がだんだん重くなってきた
もう…後で考えれば……いいかなぁ
「…おい、そら寝たか?」
「後ろから急に声かけないでよクロ…寝てるけど、もう着く訳じゃないでしょ?」
「あぁまだ時間かかるぞ…よし、研磨静かにしてろよ?」
カシャッ
「……それ、盗撮?」
「違ぇよ、後で木兎に送る」
「それそら怒ると思うよ…」
「大丈夫大丈夫、木兎に頼まれたって言えばいいだろ?」
「クロ…最低だね」
「木兎に頼まれてたのは事実だからな!?」
そんな会話があったことを、寝ている私が知る由もなかった