第4章 懐かしい名前
あの後、楽しみだなぁなんて会ったこともない烏野の話で盛り上がり、家へと帰った
私の両親は共働きで、父の転勤の度に母が異動願を出しながら家族一緒に暮らしている
勿論二人とも正社員なので、出張や夜遅くまで仕事をしてくる日もある
なので、休日以外私は家に一人なのだ
だから、たまに幼馴染が上がりこんでいるときがある
「お!そらおかえりー!!お前も一緒に映画見ようぜ!!」
「…当たり前のように家にいるのやめてっていつも言ってるでしょ?光太郎」
「なんだよ水臭いぞー!俺とお前の仲じゃんかよぉ!!」
目の前でぶーぶーと文句を言いながらハリウッド映画を見ている銀髪のツンツンヘアーの男
コイツが幼馴染で一つ年上の、木兎光太郎である
私が小学校3年生になるまで隣の家に住んでいて、共にバレーを始めた仲間でもある
「俺とお前の仲って…彼氏でも人の家勝手にあがりこまないと思うよ?ってそれ私のプリン!!勝手に冷蔵庫あけないでよ!!」
「これそらのだったのか、うまかったぞ!」
にしし、と笑うコイツは本当に年上なのか?と疑いたくなるほど精神年齢が幼いと思う
しかし、バレーに関しての腕は全国で五本の指に入るとも言われる程のスパイカーだ(その点に関しては一応尊敬している)
コイツは気が向いた時、勝手に家に上がり込んで人の食べ物を食べて泊まる準備をしている
「昔みたいに家もそんな近くないんだから来なくていいんだけど?」
「ヘイヘイなんでいつもそう冷たいんだよ!俺はお前が一人で寂しいだろうと思って来てんだぞ!」
「光太郎がいるとうるさくて落ち着けないの」
「……じゃあ帰った方がいいか?」
急に真面目に聞かれて言葉が詰まる
実際うるさいが、光太郎がいなくなるとそれはそれで寂しいのも確かだった
「…別にもう泊まる準備してるんでしょ?それに母さんに許可取ってるんでしょ」
「流石そら!おばさんも俺がいると安心って言ってたぞ!」
母さんにはもっと娘を信頼するべきだと言いたい
ひとしきり話すと、他のDVDを取り出して映画を勝手に見始める
仕方ないのでお風呂に入った後、寝る準備をしてから隣に座りこむのだった