第2章 キッカケ
ガラッと、音がしていつものように開く扉。
「おっはよー!」
乃愛の声が教室中に響いた。
「お、おはよう、皆」
隣で大声を出され、ビックリした私いつもより控えめに言った。
「おはよう、美桜、乃愛。」
「おはよ、縷伊」
私は、クラスメイトの一人の返答に答えた。
「ん~…相変わらずの身長差コンビで。」
彼女は、瑞瀬縷伊(ミナセルイ)。
中学に入ってから知り合った大人しい雰囲気の大人っぽい子。
「あはは…」
「しっ、仕方ないじゃん、伸びないんだもん…」
「うん、乃愛はそのままでいいよ。背なんて関係ないもん。」
「美桜…!」
「あー、リア充は他でやって。」
なんて会話は日常茶飯事。
すると、予鈴が鳴った。
「あ、これって…席は出席番号順だよね?」
「もちのろん。美桜は私の隣。」
そう言って、私を指さした。
「あ、縷伊が隣?」
「うん、また」
「えー、縷伊ずるい…私も美桜と一緒がよかった。」
「わがまま言わないでちゃっちゃと席着く。お前らだけだぞ?予鈴が鳴っても席に着いてないのは。」
いきなり背後から声がしたと思えば何やら固くて平たいもので軽く頭を叩かれた。
「「「…担任って変わらないんだ…」」」
「うっせ。」
それは間違いなく、1年の時の担任で。
「他の奴等も静かにしろー。出席とるぞー。」
ということらしいので、私たちは渋々自分の席に着いた。
「蒼。」
「はーい…なんでよりによって一番初めなんだ…」
「それは自分の父親を憎むんだな。」
「お父さんの阿呆。」
「うむ、その調子だ。」
って言う乃愛と先生の会話も昨年、何度繰り返したのか。