第7章 新しく私らしく
リョーマくんが私の髪に触れ、ふわふわと感触を確かめた。
「今は…ハゲてないよ…?」
「なーんだ」
おい、がっかりするな。
「まだハゲてたら触ろうと思ったのに」
リョーマくんが悪戯に笑うから、あまり楽しくない話をしたのにつられて笑ってしまった。
「もう大丈夫だもん、それに、これからもきっと大丈夫」
笑顔が自然にあふれてくる。
「自信満々じゃん」
「リョーマくんの彼女ですから」
「…オレ、テニスでは誰にも負けたくないけど、夢子のことも、誰にも負けたくない」
「え?」
リョーマくんがにや、と笑う。
そしてガバッと大きな動作で抱きしめられた。
「わ」
「誰にも渡さないって言ってんの」
「…うん」
私も背中に腕を回す。
「私も…誰にも渡したくないよ、リョーマくんのこと」
ぎゅ、とされるとまた胸がきゅんと痛んだ。
「ありがと」
「なんで?」
「美人で良かったって思わせてくれたから」
抱き締めたまま、リョーマくんがクスッと笑うから私の耳元がくすぐったくて、ふふふと笑った。
「美人じゃなくても、好きになったかもよ?」
「えっ」
思わず身体を離して目を合わせると、すかさずキスされてなんだか恥ずかしくなった。
「ま、夢子は美人だけどね」
いつものように少し意地悪そうな笑顔で言うリョーマくんがかっこよくて、ドキドキする。
「……リョーマくん、大好き」
思わず言うとリョーマくんの顔が赤くなる。
「知ってる、俺もだし」
また抱き寄せられ肩にもたれる。
身長があまり変わらなくて良かった。
頬と頬が触れて顔の熱が伝わる。
大好き。