第6章 最強の彼女
カルピンにじゃれつかれながらパスタを食べ終わり、少し食休み。
ほぁら〜
「ふふ、かわいい…」
カルピンと猫じゃらしで遊んでいると、リョーマくんがいつの間にかウェアに着替えていた。
早い。
カルピンの横から私の動かす猫じゃらしを狙うリョーマくん。
わざと猫じゃらしで大きく弧を描くとカルピンが綺麗に飛ぶ。
「わ、すごい、カル…え?」
飛んだカルピンに猫じゃらしを奪われたと思ったら、一緒に飛んだリョーマくんは私に跨っていた。
膝で立つリョーマくんがいつもより高い視線で私を見下ろした。
ふわりとリョーマくんの香りがして、ぎゅ、と抱き締められる。
いつもと違って心臓の音が聞こえた。鼓動は少し早い。座り込んだまま私からも腕を回すと、また少し鼓動が早くなった。
「…私と」
「うん?」
「私と同じくらい、ドキドキしてるね」
「…うん」
上からの角度に少し緊張する。
額にキスを落とされ、ん、と唇にもせがむとキスをくれた。
目を開けるとリョーマくんがまた紅い顔をしていて、その表情にどきりとした。
「なんなのもう…可愛すぎ」
可愛いの言葉に私の顔が緩む。
ほぁら〜
「あっ」
カルピンが構ってと周りにまとわりついて、リョーマくんが私からどいてカルピンを抱き上げた。
「ほら、外行くよ」
カルピンを廊下に出しリョーマくんも部屋から出た。
「着替え、そこ置いといたから、着替えたら出てきて」
ベッドを見ると畳まれたTシャツとウィンドブレーカー。
「うん、分かった」
身体を起こすとまだ唇が熱い気がした。
Tシャツもウィンドブレーカーもリョーマくんの匂いがして、身に付けるとなんだかくらくらする。
ドアを開けるとリョーマくんがあぐらをかいてカルピンを膝に乗せていた。
黙ってこちらを見ているので、カルピンを抱き上げ、そのままリョーマくんのあぐらに座った。
「お待たせ」
「うん」
私が退かないのでリョーマくんが困惑した顔をしている。
「どしたの?」
「悋気」
意味が解らなかったようでなおも困った顔をしているリョーマくん。
それが可笑しくて笑ってしまい、なんでもなーい、と言って立ち上がった。
「どういう意味?」
「内緒」
「ふーん」
少し腑に落ちない顔をしていたけれど、リョーマくんは私のポニーテールを見て微笑んだ。