第4章 続・恋人
「シルバー…」
「シルバーか…」
「なんで?」
「ううん、聞いておこうと思って、なんとなく」
「夢子は?」
「え?」
「何色が好き?」
「うーん…白…かな」
「ふーん」
本当はクリスマスに編むマフラーかセーターの色の参考にしようと思っていたけれど、シルバーか…うーん…グレーで良いかな。
「織江、詩集は出来たのか?」
「ええ、あと3人提出してくれれば完成」
「そうか」
「手塚先輩は、織江先輩のどこを好きになったんですか?」
ふと気になって聞いてみる。
「…!」
手塚先輩の頰が赤く染まり、驚いた表情を作る。
あ、また見た事ない顔。先輩の隣だと、手塚先輩は表情豊かなのかな。
「それは……今いうことではない」
織江先輩が、可笑しくてたまらない、という顔で手塚先輩の背中に手を回す。
「夢子、勘弁してあげて」
リョーマくんまで笑っている。
だって聞きたかったんだもん。私だって織江先輩が好きだから、仲良くなれそうだと思って。
「夜野」
「ハイ」
「お前の詩、夏に賞を獲ったそうだな」
「え、あ、ハイ」
「織江に見せてもらった。良い詩だった。」
「…アリガトウゴザイマス」
何故突然その話を…
「お前の詩の役に立つなら、そのうち聞かせてやろう」
!!
「はい、ぜひ」
リョーマくんが私の手を握る。
握り返すとリョーマくんが顔を上げた。
目が合うとリョーマくんがゆるゆると笑う。
「越前、ずいぶん気の抜けた顔になってるぞ」
「部長に言われたくないっス!」
織江先輩は笑いながら、貴方達、そっくりね、と言った。
リョーマくんは赤い顔で答える。
「オレこんな無愛想じゃないっス」
「越前、オレは別に無愛想ではないぞ」
手塚先輩が真顔で答えるから、可笑しくて笑ってしまう。
楽しい。
こんなの知らなかった。
こんな気持ち、知らなかった。
青学に入って、よかった。