第4章 続・恋人
「ごめん、言葉が悪かった」
「いや、私が勝手に深読みしただけだから…なんかごめんね」
「ううん、こんなこと言うの、重いかもしれないけど、オレ、ずっと夢子といたい。最初で最後の彼女でいて欲しいと思ってる。」
リョーマくんのストレートな言葉に、今度は嬉しくて胸が締め付けられた。
甘い。
「甘い」
「えっ」
「夢子、甘い匂いがする。香水?」
「あ、うん、少しだけ。お母さんにもらったの」
「くらくらする。夢子と1mmも離れたくない」
「リョーマくんが他の女の子にくらくらしないように、ずっと夢中にさせたいな」
料理も、上手になって、私じゃなきゃだめって思わせたい。
こんな気持ち、今まで知らずに生きてきたなんて信じられない。
「いまこんなに夢中なのに?」
リョーマくんの声が甘い。体温が上がっているからか、香水の匂いが強くなる。
頰に手を当てられ、上を向かされる。
唇が落ちてくると理性が働かなくなった。
「んっ」
先の心配をしても仕方ない。いま、好き。
舌が唇を割って入ってくる。息がうまくできない。
「ふっあっ」
少しの隙に呼吸をする。
「Damn You’re Cute」
リョーマくんが小さく言った。ぼんやりした頭で訳を考えるけれど分からない。
「んっ」
深いキスに、思わずリョーマくんのシャツを握りしめる。
舌が絡まなくなったかと思うと下唇を喰まれた。唇を舐められまた舌が入ってくる。
好き。大好き。
短い呼吸で呟くように言うと、頰に当てられていた手が頭に回された。
キスはより深くなる。
どれくらいそうしていたか分からない。ただ求め合うようにキスをして、頭がくらくらした。
リョーマくんの頰が紅潮している。
とろんとした瞳で見つめ合い、いつの間にか終わった激しいキスの余韻に浸った。
チャイムが鳴るまで抱き合ったままでいた。
リョーマくんの心臓の音を聞きながら、昨日より、好き、と呟いた。
オレも。掠れたような小さな声で、リョーマくんが言う。
チャイムに顔を上げるともう一度軽くキスされる。
「ずっと、傍にいてよ」
「…うん」
リョーマくんが自嘲気味に笑う。
「こんなに必死になるなんて、オレもまだまだだね」
私の毛先に指を絡め、キスをするリョーマくん。
私だけの王子様。