第4章 続・恋人
第二図書室の前まで来て、息を整える。
早く会いたいのに、少し緊張する。周りを見回し誰もいないことを確認して、素早く扉を開いて中へ入り、後手に扉を閉めた。
「リョーマくん、お待た…せ…?」
リョーマくんが寝転がったまま、顔を抑えていた。
「どうしたの?」
駆け寄るとリョーマくんが身体を起こした。顔が近付きどきりとする。
「あ、夢子、おはよ…」
「どうしたの?」
もう一度聞くと、リョーマくんは顔をしかめてから私の眼鏡を外した。あ、キスされる。
ちゅ、と小さくリップ音がして、なんだか恥ずかしくなった。
「夢子が早く会いたいとか送るから、ケータイ顔に落とした」
「えっ痛そう!」
「痛いよ」
リョーマくんが苦笑いしながら答える。
私が噴き出したから、リョーマくんが首を傾げた。
「今朝、リョーマくんがそれ送ってきたとき、私は足の上にケータイ落としたよ」
ふふ、と笑い合う。
「あ」
リョーマくんがじっと私を見た。
顔が近付く。
「化粧……?してる?」
「あは、ばれた?」
「なんで?」
「かわいいって言ってもらおうと思って」
桃子先輩の様に、てへへ、と笑ってみる。
リョーマくんが急に私を抱きよせる。
「リョーマくん?」
「それ以上可愛くなってどーすんの?」
急に恥ずかしくなって身じろぐ。
「いや、ええと…」
リョーマくんが身体を離す。
「かわいいよ…」
目が合い、またキスをする。
お母さん、サンキュー。やっぱりグロスは要りませんでした。
何度もキスをして、少し息が上がる。
「リョ、リョーマくん?」
話しかけるとリョーマくんがハッとした。
「あ、ごめん、つい」
余裕のない姿を見てしまい、思わず笑みが、浮かんでしまう。
リョーマくんが顔を赤くした。
「ズルい」
悔しそうに言うと、もう一度 私にキスを落とした。
「お腹すいた」
「あ、そうだった、お待たせ」
こうして少しずつ毎日同じ時間を重ねるだけで、またリョーマくんを好きになる。
部活や練習の話を聞きながら、私も部活の事を話した。
織江先輩が私の素顔に初めに気付いたこと、時々お茶会部になってしまうこと。
「まぁ、素顔はオレの方が先に知ってたけどね」
リョーマくんが少し得意げに言った。