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【テニスの王子様】私の王子様【越前リョーマ夢】

第3章 昨日はクラスメイト



昨日より好き、今日はせつない。

時間が永遠じゃないことを知っているから、私達は急いで確認してしまう。

でも目の前のリョーマくんを見ていると、なんだかずっとこの時間が続くような気がした。


「部長の彼女がよく見学に来てるのは見てたけど、ちゃんと見たの初めて」

「そうなの?」

「あんまり人に、興味ないから」

「なるほど」

リョーマくんの手が私の手に触れる。動かして手を握る。温かい。


「ねぇ」

リョーマくんの声が心なしか甘い。私にそう聞こえるだけか、本当に甘いのか判断がつかないくらい私は彼を好きなのだ。

「うん」

「今日は部活あるの?」

「ううん、今日はお休み」

「じゃあ、今日は練習見に来てよ」

実はこっそり覗いてから帰ろうと思っていたので、嬉しくなる。

「うん、行くよ」

リョーマくんが優しく微笑む。

眉尻が下がって穏やかな表情のリョーマくんは、教室では見たことがなかった。

「リョーマくん」

「ん?」

「そのふにゃふにゃした顔、私以外の女の子に見せないでね」

リョーマくんはきょとんとした顔をする。写真で見せてもらった、リョーマくんの飼い猫、カルピンにそっくりだ。

そして、ふ、と笑い、私の頬に手を添えるように触れる。

「夢子こそ、そんな甘ったるい顔、オレ以外に見せないでよね」

「リョーマくんの前以外で、そんな顔出来ないよ」

困ったように笑ってみせると、また切ない気持ちになった。

どちらともなくキスをする。

何度もする。

柔らかく温かい唇の感触に気が遠くなりそうだった。

ずっとこの時間が続けばいいのに。


頬に触れたままのリョーマくんの手が、私の熱を吸った様に熱い。離れがたくて繰り返すキスは昼休み終了の予鈴で現実に引き戻された。

「好き」

そう伝えた時に揺れる、大きなその瞳も、とても好き。

リョーマくんが少し赤くなる。

「オレも」

優しげに言う表情は私だけに向けられたもので、そう思うだけで胸がいっぱいになった。

もう一度キスをして、今度は本鈴の前に一緒に教室へ戻った。

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