第3章 昨日はクラスメイト
「うん、食べる」
大きく頷くとリョーマくんがにっこり笑った。
何回見ても綺麗だ。
「じゃあ屋上で」
「うん」
そろそろ登校時間だ。
お弁当を手提げに仕舞い、立ち上がろうとすると髪を引かれた。
ポニーテールをそっと掴むリョーマくん。
「こら、眼鏡」
「あっ忘れてた」
今まで学校で、部室以外では眼鏡を外すことなんてなかったから…
慌ててポケットから眼鏡を取り出す。かけようとしたところを遮られ、顔に手が触れた。
慌てて目を閉じると頬にキスをされた。
目を開けるとリョーマくんが意地悪そうに笑っている。
「期待した?」
「もう!」
手提げを振りかぶるとその手を掴まれ、今度は唇がふさがれた。
顔が離れると急に恥ずかしくなる。私ばっかり、ドキドキしてる。ずるい。
「…リョーマくん、慣れてるでしょ」
「まさか」
前を歩き出すリョーマくんについて行く。
眼鏡をきちんとかけ、髪を整える。
ドキドキを抑えながらくつを履き替え教室へ向かったけれど、勉強のことなんて考えられなかった。
授業は上の空で、今日はペンを回すのも手が忘れるくらいリョーマくんのことを考えていた。
私、まだあんまりリョーマくんのこと知らないんだ。もっと知りたい。誕生日も、好きな食べ物も、女の子の好みも。