第1章 クラスメイト
昼休みになっても、そわそわした気持ちが消えず、落ち着かなくて手に持ったペンを回した。
ペンは私の手の中でくるくると綺麗に回る。この前の試験前にお姉ちゃんに教えてもらって、試験勉強中に習得したのだ。
さっき落としたのは、王子様のせい。
「ふーん、やるじゃん」
「わ」
突然の声に驚いて私はまたペンを放り出した。
くるりと回っていたペンは、放物線を描いて前の席の堀尾くんの後頭部に直撃した。
「いってー!!なに?なんだ?」
慌てて立ち上がりペンを拾う。
「ごめん、堀尾くん。私、またペン飛ばしちゃって…」
おろおろと謝ると堀尾くんはケロッとして言った。
「なんだー。ペンか。良かったー!また越前の奴が何か投げてきたのかと思ったぜ」
また?
「俺は何もしてないケド?」
「げ、いたのかよ越前」
越前くんと二、三言葉を交わした後、腹減ったーと言いながら堀尾くんは教室から出て行った。
シャープペンシルを拾ってそれを見ていたら、越前くんが少し笑って言った。
「いつまで突っ立ってんの」
また顔が熱くなるのを感じた。
動揺を悟られない様に、ゆっくりした動作で席に戻る。
「落としたことなかったのに…」
顔を上げるとそこに既に越前くんはおらず、自分の席でお弁当を取り出していた。
独り言になってしまったバツの悪さに私もカバンからお弁当を探る。隣の席の男子が休んでいたせいで、王子様に恋に落ちてしまった。
今日が良い日なのか悪い日なのか考えながら、お弁当を取り出して屋上に向かった。昼休みは本を読みたいから友達には断って1人でお弁当を食べる。
今日は晴れているから、きっと外は気持ちが良いだろう。