第1章 クラスメイト
「詩集、すすんでる?」
「はい、あと3ページくらいですね」
「先輩は?」
「私もあと2ページくらい」
「私は、少し書き直すかも知れません」
「今日次第?」
「そんな感じです。」
余ったシフォンケーキを包み直す。
部室を片付けているだけなのに、手に少し汗をかいていた。
緊張してる。
「紅茶、少し持っていく?」
「持って行きます!」
水筒をすすぎ、紅茶をもらった。
今年は10月の末にしては少し冷えるから、温かい紅茶は帰り道に嬉しい。
門の前に行くだけなのに身体が強張る。
たどり着くと、まだ越前くんは来ていなかった。
テニスコート方面からテニス部の子達がパラパラと出てくる。レギュラー陣はまだなのかな。
そこから5分程待つと女の子たちがちらほら出てきた。あ、これは噂に聞く出待ちか。感心したが越前くんのファンが混ざってたら、ここで待ち合わせするのはあまり良くないんじゃないかな…。
ケータイを取り出したが越前くんの連絡先を知らなかった。
あーあ。
門の柱に背中を預けた。
緊張が落ち着いてきた。
小さく深呼吸する。