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【テニスの王子様】私の王子様【越前リョーマ夢】

第13章 桜の精?



「カチロー」

「なにー?リョーマくん」

カチローが体操服に頭を通しながら返事をする。

「中庭の桜の噂って知ってる?」

「知ってるよ?」

首を傾げながらカチローが体操服から顔を出した。

「どんなの?」

「あれ?リョーマくん知らないんだ?」

嫌味のない表情。堀尾に聞かなくて良かった。

「うん、知らない」

「なんか、中庭の桜の木の下で告白すると、恋が叶うんだって」

「ふーん」

変な噂…でもなんでそんなことオレに聞いたんだろ?

「でもなんで突然?」

「え?」

「リョーマくんがそんな噂気にするの、珍しいから」

「…夢子に、聞かれたから」

「知ってるかって?」

「うん」

「そっか〜、もしかして、桜の木の下で告白してほしいって言いたかったんじゃないかな」

ふわふわした表情でカチローが言う。

「…え?」

「だから、夜野さん、リョーマくんに桜の木の下で告白してほしいって思ったんじゃない?」

なるほど。

「サンキュー、助かった」

「いやぁ、リョーマくんにお礼言われると、なんだかくすぐったいなぁ」

照れ笑いするカチローに、まだまだだね、と言ったけど、オレもまだまだだね。

「お礼に今日の個人練、ちょっと付き合うよ」

「えっ、ほんと?わーい、夜野さんさまさまだなぁ」

「そうだね」

笑みが零れる。

最近、夢子のことになると顔が緩むのが自分でも分かる。

両手でぴしゃりと頬を叩いて、テニスに切り替えようとするけど、夢子のことが頭から離れない。

さすがに試合形式の練習が始まると集中できるけど、筋トレやダッシュの時は夢子の顔が浮かぶ。

桃先輩にからかわれるけど、桃先輩の桃子先輩を見る顔がずいぶん優しいことにも最近気付いた。

誰かを好きになると、そんな表情に気付けるようになるのかもしれない。

「夜野さん、すごい綺麗だよね、リョーマくんから告白したの?」

油断していたせいで顔に熱が昇るのが分かった。

「まぁ、ね」

ストレッチ中だから背中を押すカチローに顔は見られていない。

ほんと、オレも、まだまだだね。

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