第1章 クラスメイト
今日はいろいろとありすぎて、脳みそがパンクしそうだ。
恋をしたこと、たぶん、これからもっと好きになってしまうこと。
少し騒がしいHRに、先生が大きめの声を出す。
「あー、あと図書委員、今日の図書整理はうちのクラスだから。忘れんなよー」
図書委員…誰だっけ。自分に関係ない事柄は、大抵右から左へ抜けてしまう。
日直は私です。覚えています。
「起立、礼」
早く部活に行って、織江先輩に話しを聞いてもらおう。
立ち上がろうとすると越前くんが私の机の横に立っていた。
「うわ、びっくりした」
今日は何度も驚いてる気がする。
「どうしたの?」
「図書委員、今日女子は休みだから、夜野手伝ってよ」
「ええ!?あ、本当だ、休みだったね。でも、なんで私?」
「部室、隣でしょ」
そう、文藝部の部室は図書室の隣。越前くんが図書委員だったことも忘れていたのに、越前くんは私が文藝部だということを知っていたらしい。
図書委員が休むと駆り出されることもザラだ。
越前くんが近くにいると、ドキドキする。
「うん、分かった、部室にカバン置いたらすぐ行くよ」
「俺も部室寄ってから行くから、図書室でね」
「うん」
前はこんな時、越前くんのファンの子に、もとい、越前くんのことを好きな女の子に申し訳ないと思ってたけど、今は嬉しくて浮かれていた。
部室をノックすると、はーい、と綺麗な声が聞こえた。織江先輩が来てる。
「織江先輩。こんにちは!」
「こんにちは」
にっこり笑う織江先輩は私の憧れだ。
美人で堂々としていて、柔らかな雰囲気は小説から抜きでてきたヒロインの様だった。腰までのロングヘアは少し茶色に染めてあり、ウェーブの様なパーマがかかっている。
物腰は柔らかそうなのに意志の強そうな瞳が素敵だ。
私も先輩みたいに堂々と出来たら、眼鏡もいらないのに。