第2章 Xeno~偏西風~
「す、すごい…」
セスナの中は
とてもゴージャスで
セレブリティな空間だった。
「接待のときにしか使わないのだが、
わがままを言って出してもらった。」
「あ、ありがとうございます…」
しばらくしてセスナ機は離陸し、
ウィスタリアの街の夜景が
どんどん小さくなっていく…
「うわ…綺麗…」
「アヤセ…」
「はい…」
ゼノがシャンパンを差し出してきた。
「あ、ありがとうございます…」
グラスを合わせ一口含む。
自身の国にいるときは
そんなに飲むことがなかった
その味は少し苦く
アルコールの強い香りが鼻を掠めるのに、
なぜか胸を甘く締め付ける。
プリンセスになって、
ゼノと出会ってから知った大人の味…
「誕生日おめでとう。」
「えっあ、ありがとうございます‼
もう日付が…?」
「つい今変わったところだ。
仕事が一段落したものでな。
明日になればお前に会えるとはいえ、
日付が変わって一番最初に誕生日を
祝ってやりたかった…」
「ゼノ様…」
思わず顔がほころぶ。
「ありがとうございます…!」
「さっきから礼を言ってばかりだな。」
ゼノはクスクスと笑った。
「あ、そう言えば…」
「お前のその素直なところがいい。」
「ゼノ様…」
顔が赤くなる。