第1章 Sid~極上の女~
控え室にジルが入ってきた。
「お疲れさまでした。」
「あの…」
「何ですか?」
「シドの新しい役職への就任に関しては
発表しなかったんだなぁと思って。」
「本当はするつもりでした。
プリンセスとの関係についても。
隠す必要もありませんから。」
「えっそうだったの…?」
「しかし少し状況が変わりました。」
「え…」
「明日、ゴシップ誌に
あなたの記事が載ります。」
「えっ!?
あ…もしかして昨日の…?」
「そうです。
なので本当は彼の話題自体
出て欲しくなかったのですが、
あの記者はゴシップ誌のやり手記者で……」
ふぅ…とジルはため息をついた。
「エスコートに関しても
だいぶ迷ったのですが、
ウィスタリアに来て初めての
あなたの誕生日でしたので、
私なりにお祝いをさせていただきました。」
「えっそうだったんだ…
ジル…あ、ありがとう!」
「まったく、私も情に弱くなりました。」
そう言って少し頭を抱える。
「それで明日、公務は休みですが、
この件で早い時間に一度私の執務室に
来てください。」
「あ…わかった。」
そうして控え室を後にした。
でも、どうせ記事出ちゃうなら
先手でこっちから発表しちゃっても
良かったんじゃないのかな…。