第1章 Sid~極上の女~
謁見の間では、
各国の要人たちが順番に挨拶と祝辞を
述べてくれた。
お世話になったシュタインのゼノ様、
ウィスタリアに視察に来てくれた
ウィルツの国王様、
他にもたくさんの国王様や高級官僚が
次々に挨拶をしてくれた。
その後は、
立食パーティー兼ダンスパーティー
が開かれた。
「お前昨日散々あんなんして踊れんのか?」
「それはこっちのセリフ。」
「あ?お前…」
そう言うとシドが少し腰を低くして、
片手差し伸べてきた。
「1曲お相手願えませんか?」
ちょっちょっと何それ…うれしいし。
顔を赤くしながら、
私はシドの手に自分の手を重ねた。
ワルツがかかる。
腰に手が回され、グッと引き寄せられた。
曲に合わせて足を踏み出す。
あぁ…やっぱいい…
シドはダンスも上手…
………って!!
“ダンスも”って何!?“も”って!!
私何考えてるの!?
思わず顔が赤くなる。
「何勝手に赤くなってんだよ。
昨日の夜のこと思い出した?」
ニヤリと見下ろされる。
「ちっ違うっ!!」
もう…もうずっとシドには
振り回されっぱなし!
でもそれも悪くないと思ってる私がいる。
あーあ。
どんどんシドにはまってっちゃうな。
でもいっか。
もっと甘えろって言ってくれたし。
「ねぇ、シド…」
「あ?」
「ウソついた。
ほんとは思い出しちゃったの。
昨日いろいろなとこを
いーっぱいシドに愛されたこと。」
私はニッコリとシドを見上げる。
今度はシドの顔が赤くなった。
「ったく…敵わねぇよお前には。」
「フフッ。」
周りは、二人がそんな会話をしているとは露知らず、
プリンセスと次期大公のダンスを眺めていた。
~おわり♪~