第1章 Sid~極上の女~
~おまけ1~
いつもより明るい陽射しが
カーテンの隙間から洩れていた。
私はガバッと体を起こす。
時計を見ると昼の12時を回っていた。
「うっうそっ!」
「…なんだよ、朝からうるせぇな…」
「シッシド!起きて!
朝じゃないよ!もうお昼を回ってるよ!
どうしよう、今日は大切な日なのに!」
「時間になりゃジルでも誰でも
叩き起こしに来るだろ。
来ないってことはまだ大丈夫なんだよ。
寝るぞ。」
そう言ってシドは再び枕に顔をうずめた。
トントン…
「ったく、言ってるそばから…」
シドが枕の中から呟いた。
「シドッ!いるんでしょう?」
扉を尚も叩いてくる。
「待って!今開けるから!」
私は裸の体にシーツを引き寄せて返事をする。
「なぁここ、お前の部屋だよな?
なんであいつ俺の名前呼ぶんだよ。」
ナイトドレスを着ながら私は苦笑する。
慌てて扉を開けると眉を寄せたジルがいた。
「昨日はだいぶお楽しみだったようで。
プリンセス?」
「あ…ご、ごめんなさい…」
「シドッ!」
まだベッドにいるシドに目をやる。
「何だよ。うるせぇな。」
「あなたも今日はちゃんとした
格好をしてもらいますかね。
だから早く起きてください。
もうすぐクロードが来ますから、
プリンセスも早く衣装部屋に行ったください。」
そう言ってジルは部屋を後にしようと踵を返した。
しかし…
「プリンセス…」
ジルが振り返る。
「誕生日おめでとうごさまいます。」
笑みを浮かべながら祝ってくれた。
「あ、ありがとう…」
怒ってると思ったけど、
こういうところはちゃんとしてるな…
気持ちが暖かくなる。
その後、
またイチャイチャしてしまいそうだったから、
シドとは別々にシャワーを浴びた。
クロードにドレスを見繕ってもらい、
そのドレスを着ると、
鏡の中にはガラスの靴を履いて
背伸びした私がいた。
いつか背伸びをしないで
見える日が来るのかな。